この日は小渕の田んぼで、春の大事な作業である「水入れ」を実施しました。
水入れとは、田植えに向けて田んぼに水を引き込む工程のことで、田んぼの基礎を整える大切な作業です。さらにその周辺では、篠竹の風通し改善にも着手し、人と自然がうまく共生する環境を少しずつ整えています。
沢からの水を田んぼへ、水路の掃除と流れの確保
作業は、沢の水を田んぼに引き込むための水路整備からスタート。
まずは沢から水路へ水を引き込*樋(とい)を取り外し、内部にたまった砂や泥をきれいに除去。
その後、再び元の位置に設置し直し、水がスムーズに流れる状態を確認しました。
水路自体も1年間で土や落ち葉が堆積していたため、移植ゴテを使って手作業で丁寧に掃除を実施。

こうして樋と水路の清掃を終えたことで、水は問題なく水路を通り、田んぼへの引き込み準備が整いました。

田んぼへの導水作業
水路からはコルゲート管を通じて田んぼに水を入れます。
この管の中には泥が溜まっていたため、硬めのパイプを挿入し、中を掻き出して詰まりを解消。流れが確保されたことにより、水が無事に田んぼへ入り始めました。

▼「水入れ」作業の様子はリール動画でどうぞ
小渕の田んぼは長年利用されており、地中にしっかりとした粘土層が形成されています。そのため、水が入りさえすれば、漏れもなく自然に田んぼ全体に浸透していきます。

来週には、水が行き渡ったところで代掻き(しろかき)作業を行う予定です。
篠竹エリアの風通し改善も並行して実施
水入れ作業の後は、田んぼの東側にある篠竹の密集地帯にも手を入れました。
ここには獣が通った獣道ができていたので、それを活かして人が通れる幅に拡張。地際で刈り取りを行い、東西南北に風の通り道(風道)を開いていきました。

このとき大切にしているのは、地表をすべて裸にしないこと。
一気にすべてを刈ってしまうと、陽射しや風が直撃して乾燥が進み、篠竹や強い草がより優勢になってしまいます。そこで、部分的に風と光を通すことで、篠竹の持つ「自然の日陰」や「水と空気のポンプ機能」を保ちつつ、少しずつ環境を改善していく手法を取りました。
自然の再生を、人が少し手を入れて手伝う。
今回はまさに、そんな関わり方を体現する作業になりました。
敷地全体の整備はまだ途中段階ですが、今回の作業で次回以降に作業を進めやすい環境が整いました。
風道が開けることで、田んぼに心地よい風が吹き抜けるようになるはずです。
次回も引き続き、風通し作業を進めていきます。